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記事: Repair&custom 17

Repair&custom 17

KADOYA本社内、本社工場では、レザーウエアの製作だけではなく、各種カスタムを含む修理作業も行っております。毎年秋口から冬の終わりくらいの時期に、修理のご依頼を承る事が多いようです。

取り扱う対象のメインは、やはりレザーウエアなので、皆様がワードローブの中からレザーを手にする時期とタイミング的に重なっていると思われますが、シーズンに入ると修理の件数も激増し、通常時よりも納期を頂く事になってしまいます。

ですので、着始める数ヶ月前にお持ちいただくと、丁度良く着始められるのかもしれません。さて、本社工場には様々な修理依頼品が届けられます。
その中で、特に多い修理内容は、ファスナー交換と袖丈詰めです。今回は、このふたつの修理に少しだけ触れてみます。

ファスナー交換は特にフロントファスナー(ジャケットの前身中心)の交換が多く、ファスナーの差し込み部分(最下部)の破損によるものが修理の定番です。

もっとも一般的なファスナーは、ポリエステル製のテープとエレメントと呼ばれる金属(洋白、丹銅、アルミ、亜鉛合金など)パーツの組み合わせで構成されています。

革ジャンとファスナーの関係は、「革・ポリエステル・金属・金属・ポリエステル・革」の並びで縫い付けられていることが殆どです。

ポリエステープはもともとかなり屈強ですし、ダメージの受けやすいファスナー最下部のボックス付近には、大抵補強コーティングが施されています。 

しかし、テープ自体はそれほど厚いものではありませんので、どうしても革と金属の二強に挟まれたテープ部分が先に破れてしまう事が多いのです。

テープが破れてしまうと残念ながらアウトです。 破れた部分をかがり縫いで延命することは出来ても、そう長くは持ちません。

同じく、ファスナー最下部周辺の、エレメント(金属の歯)左右が噛み合わなくなるケースもよくあります。

スライダー(引手が付いているパーツ)の奥までキチンと差し込まれていない状態で、無理にスライダーを引き上げようとするとエレメントを歪ませてしまうことがあり、ひとつでも歪むとそれを切っ掛けにして開閉困難に陥る事があります。

歪んだエレメントを一時的に無理矢理強制させることは出来ても、やはりこれも短命の応急処置なので、結局ファスナーの交換になってしまいます。

先ほどのテープ破損も殆どの場合が、スライダーを抜き差しするときの摩擦が原因とみられます。

スライダーを差し込むとき、上手い角度で差し込めば、テープとエレメントは接すること無くはまります。

ちょっと神経質な話ではありますが、スライダーの扱い方を少し意識するだけで、どちらの場合も寿命は結構延ばせるものです。

袖丈を詰めを行うとき、殆どは袖口側から切り取る事になります。

ライダースジャケットの多くは、袖口にファスナーが付いています。  袖丈を詰めるとき、ファスナーごとカットして詰める方法と、一旦外したファスナーを切らずに移動して袖丈だけを詰めるやり方があります。

これはどちらも一長一短で、元の構造によっては出来ない事もあります。

アームホール(肩側)から詰めていくことも可能ですが、身頃(胴体)との関係がありますので、全体の寸法・シルエットを含むいくつかの条件が満たされていないと、他の部分で不都合が生じたり、胴回りのゆとりが削られたりと、いつでも対応可能な方法ではありません。

時には、袖丈が長いと思っていたものが、実は他のところに原因があって、袖丈を詰める必要が無い、或いは詰めても意味が無い、というケースも希にあります。

何れにしましても、大切なジャケットに手を加えるわけですから、是非しっかりと、KADOYAスタッフとご相談の上、納得の方法を見つけて下さい。

修理やカスタムの事例を挙げ出すとキリがありませんので、またいつかの機会に触れていこうと思います。